広告代理店とインハウスのメリット・デメリット
BtoBのWeb広告運用では、広告代理店とインハウスでそれぞれメリット・デメリットがあります。初期フェーズでは、知見のある代理店を活用することでスピード感のある立ち上げが可能ですが、継続的な運用フェーズではなかなか成果が上がりきらず、改善が進まないことがあります。
| 観点 | 代理店のメリット | BtoBにおける問題 |
|---|---|---|
| 知見・経験 | 外部の知見や成功パターンを活用できる | 自社で学習が必要 |
| スピード感 | 立ち上げが早く、一定の成果が出やすい | 成果が出るまでに時間がかかる可能性 |
| 実行リソース | 人的コストを抑えられる | 社内のリソースが必要 |
| 客観性 | 外部の視点で戦略や改善提案が可能 | 社内目線に偏るリスク |
| コントロール | 改善や方向転換にタイムラグが生じやすい | 即座に改善・実行できる |
| 事業理解・売上貢献 | 目標がリード獲得に偏るリスク | 営業プロセスや社内体制に応じて対策 |
| ノウハウの蓄積 | 社内に残りにくい | 経験が社内に蓄積される |
| 透明性 | 課題・改善点が見えにくい | 社内で把握・議論ができる |
| 運用能力 | 工数が少ないか、新人が担当する可能性 | 丁寧な運用で継続的な改善につながる可能性 |
| コスト | 手数料が発生(広告費の10〜20%) | 広告費のみ |
私自身も事業会社に在籍していた際、複数の事業において初期は代理店を活用していましたが、最終的にはインハウスに切り替えることで成果を大きく改善させた経験があります。
BtoBでは、代理店活用に致命的な課題がある
私がインハウス化を勧める理由は、代理店活用に特有の構造的な課題があるためです。私が事業会社で代理店を活用していた際に解決できず、内製化に切り替えた主な理由は以下4点です。この課題を許容できる、あるいは対策できる場合は、代理店活用の可能性があるかもしれません。
広告費の10〜20%が手数料となる報酬モデルの構造的なズレ
多くの広告代理店では、広告費の10〜20%を報酬として受け取るモデルを採用しています。広告費が高額になるほど手数料も増えるため、代理店としては広告費を増やすインセンティブが働きます。一方で、事業会社としてはできるだけ低予算で多くの成果(リード)を出したいと考えるため、ビジネス上の目的にズレが生じがちです。事業会社側としてはそれぞれの目的の整合性を常に意識し、適切にマネジメントする必要があります。
更に、仮に成果が出て広告費を上げると、今度は手数料の高騰が課題になってしまいます。
広告費が少ないと質の高い担当者がつかない、または断られる
BtoBビジネスでは、広告費が月額数十万円〜数百万円と比較的小規模になる傾向があります。こうした少額案件では、代理店側から優先度を下げられることが多く、以下のような問題が起こり得ます。こうした状態は事業会社からはなかなか見えづらく、戦略や改善の成果が出ず、頭打ちになってしまうことがよくありました。
- 新人やアシスタントレベルが担当になる
- 改善のための工数を割いてもらえない
- そもそも案件として受けてもらえない
レポートが洗練されすぎていて、実際の課題が見えにくい
広告代理店のレポートは非常にわかりやすく整っていることが多く、運用が「順調に進んでいるように見える」ことがあります。しかし実際には、本来注目すべき課題や改善点が見えづらく、経営判断を誤らせるリスクもあります。
代理店との定例が「プレゼンの場」になってしまうと、本質的な課題を見落とし、最終的に売上に貢献できていないことが後になって発覚するケースもあるため、代理店と事業会社の双方で課題に向き合う関係性を構築することが重要ですが、私の経験上、なかなか容易ではありませんでした。
営業プロセスや事業状況に応じた運用が難しい
BtoBマーケティングでは、広告→リード獲得→商談→成約までの一貫した改善が不可欠ですが、広告代理店では成果指標が「リード数」で止まることが多く、商談や売上貢献まで踏み込んだ運用は困難でした。本来は、営業部門や商談率・受注率と連動させながら広告戦略を調整すべきですが、その仕組みを整備・運用できるのは結局社内のチームであるため、インハウス化した方が長期的には効率的でした。
BtoB企業がWeb広告をインハウス化する理由とメリット
状況を可視化し、スムーズに改善・対策ができる
自社で運用することで、広告の成果や課題の背景を詳しく把握できます。そのため、情報の共有漏れや認識のズレが少なくなり、的確な改善や対策をスピーディーに進められます。
社内施策との連携がスムーズ
自社運用によって、キャンペーンの施策やクリエイティブ、営業資料などの資産やノウハウを効率的に活用できます。その結果、広告だけでなく、他のマーケティング施策ともスムーズに連携し、各チャネルの効果を最大化できます。
リード獲得から成約まで一貫したKPI管理ができる
自社運用により、リード獲得から成約までのプロセスを一貫して管理できます。リアルタイムで課題や状況を把握できるため、対応の遅れを防ぎ、迅速な改善が可能になります。
社内にWeb広告の運用担当者がいないときはどうするか?
以下の対応を優先度順に検討することをおすすめします。
小規模でも社内で運用を始める
まずは現在のリソースで実施できる範囲から運用を開始し、社内に知見を蓄積することが重要です。少額の予算でテスト運用を行い、PDCAを回しながらスキルを習得することで、将来的に社内外で適任者を選定する際にも役立ちます。
社内で適性のある人材を育成する
Webディレクターやインサイドセールスなど、周辺スキルがある人材でWeb広告に興味を持っている人を育成するのも有効です。研修や書籍などを活用することもできますが、BtoBでは自社のリード対応フローやリアルタイムの数値に向き合うことがより重要となるため、実践を通して学ばせることが効果的です。
フリーランスやコンサルタントを活用する
Web広告に精通したフリーランスやコンサルタントを一時的に活用し、社内にノウハウを移転させる形で学ぶのも有効です。また、社内担当者の入れ替わりが激しい場合は、フリーランスとの長期的な関係を構築することで、安定して成果を出しやすくなります。
必要に応じて部分的に代理店を活用する
どうしても内部リソースが不足している場合、一部の運用を代理店に任せ、データ分析や広告クリエイティブの管理は社内で行う形にすると、学びながら成果を出しやすくなります。
中長期的に採用を検討する
本格的にWeb広告運用を内製化するのであれば、経験者の採用も視野に入れましょう。ただし、スキルの見極めは非常に難しく、採用には時間がかかるため、まずは上記の方法で進めつつ、必要に応じて採用活動を行うのが現実的です。
Web広告をご検討中の方へ
BtoBのWeb広告で継続的に成果を出すためには、まずリードから成約まで一貫したKPI管理を整備した上で、マーケティングと営業が連携できる体制を構築することが重要です。さらに、BtoCとは異なり、BtoBではユーザーの行動が全く異なるため、広告クリエイティブやLP、コンバージョンポイントに至るまで、自社のビジネスに合わせた設計思想が求められます。BtoBの広告運用についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

